日本臨床免疫学会会誌
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ランチョンセミナー
ランチョンセミナー1 がん免疫療法の潮流を読み解く;免疫チェックポイント分子と遺伝子改変T細胞
玉田 耕治
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2016 年 39 巻 4 号 p. 360

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抄録

  近年,がんに対する免疫療法は革新的な発展を遂げ,外科療法,化学療法,放射線療法に並ぶがんの標準療法としての立場を確立したと言っても過言ではない.その一つが免疫チェックポイント分子の阻害を目的とした抗体療法であり,これまでに抗CTLA-4抗体や抗PD-1/PD-L1抗体などが開発された.この治療法は進行性・難治性のがんに対して優れた治療効果を示すことが明らかとなり,悪性黒色腫や非小細胞肺がんなどで治療薬として承認され,その他多くの腫瘍において臨床試験が進んでいる.免疫チェックポイント阻害剤は腫瘍微小環境での免疫抑制機構を解除することで腫瘍反応性T細胞の活性化を誘導する治療法である.また別のがん免疫療法戦略として,腫瘍反応性リンパ球を人工的に作製するための遺伝子改変技術が進展している.具体的には,がん抗原ペプチドを認識するT細胞受容体(TCR)や,がん細胞の膜表面分子を認識すると同時にT細胞の活性化を誘導するキメラ抗原受容体(CAR)を末梢血T細胞に遺伝子導入し,がん患者に移入する治療法である.このような遺伝子改変T細胞療法では,「強力な傷害活性を有する腫瘍反応性T細胞を確実に誘導する」ことが可能となり,ある種のがんに対しては極めて優れた臨床効果が報告されている.本講演では,これらのがんに対する先進的免疫療法を紹介し,その特徴と問題点,将来展望について考察する.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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