2016 年 39 巻 4 号 p. 368
ループス腎炎(LN)は,全身性エリテマトーデス患者の予後を規定する主要な臓器病変である.寛解導入療法においてはさまざまな免疫抑制治療に関するRCTが主に海外で行われ,多くのエビデンスが得られてきた.シクロホスファミド間欠静注療法(IVCY)の有効性が確立された時期に続いて,その毒性に対する認識の広がりからlow dose IVCYが考案され,またミコフェノール酸モフェチル(MMF)がIVCYに劣らない寛解導入効果と高い安全性が確認された.近年,中国からタクロリムス(TAC)がIVCYやMMFに見劣りしない寛解導入効果を示すことが示されている.また,MMFとTACの併用療法はIVCYに対して優位性があるものの有害事象がやや多いとの報告もなされた.
本邦ではミゾリビン,TACに加えてIVCY,アザチオプリンの使用が認可されており,本年MMFもLNに対して適応追加された.日本リウマチ学会が行ったLNに対するMMFの使用実態調査では,ステロイド併用下における有効性と安全性が示され,約1/3の症例でTACが併用されていること,最大投与量は2 g/日程度であることなどが明らかになった.本邦でのLN治療のおかれた環境は,薬剤選択の面では恵まれているが,どの薬剤を単剤で,あるいは併用で用いてゆくか,維持療法への切り替えなど,今後エビデンスを構築してゆく必要がある.