2016 年 39 巻 4 号 p. 384a
【目的】SScは皮膚及び諸臓器の線維化を起こす難治性結合組織疾患でIPやPAHの合併は予後に影響する.キチナーゼ様蛋白のYKL-40は炎症や組織リモデリングへの関与が知られ,腫瘍領域で免疫組織染色(IHC)が報告され,本邦でもSSc患者血中での上昇が当科の検討で判明し詳細に検討した.【対象】2014年8月~2016年3月に当科を受診したSSc患者で合併症のない51例(1群),IPを合併した21例(2群),PAHを合併した4例(3群),IP・PAHを合併した13例(4群),コントロールとして健常人16例.【方法】正常とSSc皮膚保存検体でIHCを行い,対象の血清YKL-40値(ng/ml)をELISA法で測定し,爪郭毛細血管をダーモスコピーで評価した.【結果】IHCでは正常皮膚は染色されず,SSc皮膚で皮下の血管内皮が著明に染色された.また,血清YKL-40値を比較し,1群:78.6±50.3,2群:122.1±89.0,3群:183.5±120.4,4群:225.9±161.0は健常人38.1±18.1と比べ有意に上昇し,2,3,4群でより上昇した.特に,1群と4群でROC解析を行い,SScに感度85.7%,特異度70.6%でIP・PAH合併を診断可能だった.ダーモスコピー所見で1群はearly/active/late pattern:17/23/6例:69.2±43.7/88.0±58.5/90.2±44.8,4群は3/5/6例:128.7±42.6/190.9±177.2/303.7±65.7で,4群のactive/late patternで有意に上昇した.それを合わせることで感度90.9%とSScにおけるIP・PAH合併にYKL-40とダーモスコピーを併用することで合併症の有無を早期に診断できる可能性が示唆された.