日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P1-30 T細胞受容体領域に欠失型copy number variationを有する多発性硬化症の免疫学的解析
篠田 紘司グザリアイ ママティジャン中村 優理佐藤 眞也眞崎 勝久松下 拓也山崎 亮吉開 泰信吉良 潤一
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2016 年 39 巻 4 号 p. 389b

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抄録

  【背景】我々は最近,日本人多発性硬化症(multiple sclerosis, MS)と視神経脊髄炎において,T細胞受容体(TCR)遺伝子領域の欠失型copy number variation(CNV)が,その疾患感受性を大きく高めることを報告した.しかし,欠失型CNVの臨床免疫学的な意義は明らかでなかった.【目的】MS患者における,欠失型CNVの免疫学的意義を検討する.【方法】TCRα及び/またはδ鎖領域の欠失型CNVを有する66名,有さない155名のMS患者で臨床像を比較した.寛解期のMS患者で,当該CNVを有する8名と有さない7名の末梢血単核細胞を採取し,8カラーフローサイトメトリーによりリンパ球サブセット解析を行った.【結果】欠失型CNVを有するMS患者は,progression indexが有意に高値であった(P = 0.0453).欠失型CNVを有するMS患者は,有さない患者に比し,HLA-DRを発現する活性化CD8 T細胞が多く(P = 0.039),セントラルメモリーCD8 T細胞が少なかった(P = 0.013).【結論】欠失型CNVを有するMS患者では,有さない患者より障害の進行が速いことが示され,免疫学的にはCD8 T細胞サブセットの偏倚を反映している可能性が考えられた.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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