日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P1-47 プロテアソーム関連自己炎症性疾患特異的iPS細胞を用いた病因解明と治療法の探索
尾崎-本田 富美子中畑 龍俊金澤 伸雄斎藤 潤
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2016 年 39 巻 4 号 p. 398a

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抄録

  中條 西村症候群(NNS)は,弛張熱や凍瘡様皮疹などの慢性再発性炎症と進行性の筋脂肪萎縮が症状の特徴であり,誘導型免疫プロテアソームサブユニットをコードするPSMB8遺伝子が変異することによって発症するプロテアソーム病である.本疾患では,プロテアソーム機能不全のためにユビキチン化タンパク質や酸化タンパク質が蓄積することによって,IL-6などの炎症性サイトカインやケモカインが過剰に産生されることが示唆されている.本疾患の問題点として,炎症と萎縮の発生メカニズムについて未だ不明な部分が残っていること,有効な特異的治療法が存在せず,対症療法で症状を軽減するのみであることがあげられる.今回我々は,NNSの病態解明と治療法開発のため,NNS-iPS細胞を樹立した.さらに,CRISPR/Cas9システムを用いて,NNS-iPS細胞のPSMB8変異箇所の遺伝子修復と健常ES細胞への変異遺伝子導入を行い,それぞれとisogenicな細胞を作製した.NNS-iPS細胞から分化させた単球では,IFNγ+TNFα刺激後のプロテアソーム活性が健常細胞に比して低く,また炎症性サイトカイン,ケモカインの産生が上昇していた.NNS患者抹消血由来単球でも同様の結果であることから,NNS-iPS細胞を用いた病態再現に成功していると言える.現在,NNS-iPS細胞から分化させた単球を用いたハイスループット系で,疾患の表現型を回復させる創薬スクリーニングを実施している.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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