2016 年 39 巻 4 号 p. 408a
潰瘍性大腸炎は他の自己免疫疾患と同様に,遺伝的な背景に腸内細菌などの環境因子が作用することで腸管炎症が引き起こされると考えられているが,未だ原因不明の難病の一つである.近年ゲノムワイド関連解析(GWAS)が盛んに行われているが,同定された疾患感受性遺伝子のうち大腸上皮細胞に高発現するRING finger protein 186(RNF186)に着目した.RNF186は小胞体に局在し,ユビキチンリガーゼ(E3)として働く.RNF186の基質としてoccludinなどを新たに同定し,Rnf186欠損マウスでは腸管上皮細胞での基質タンパクの発現パターンの変化を認めた.Rnf186欠損マウスは,腸管上皮の透過性が亢進するだけでなく,デキストラン硫酸ナトリウムを用いた薬剤誘導性腸炎(DSS腸炎)の感受性が亢進した.DSS投与により,Rnf186欠損マウスの大腸上皮細胞の小胞体ストレスは上昇し,アポトーシスが亢進した.潰瘍性大腸炎患者では,コーディング領域内のSNP(64番目のアラニンがスレオニンに変異)が報告されており,そのSNPを反映させた変異マウスを作製したところ,Rnf186欠損マウスと同様にDSS腸炎の増悪を認めた.RNF186は腸管上皮細胞のタンパク質の恒常性を制御することで腸管炎症の発症に関わることが明らかとなった.