日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P2-26 関節リウマチ患者由来の滑膜線維芽細胞における刺激応答機構の解析
土屋 遥香住友 秀次石垣 和慶鈴木 亜香里高地 雄太太田 峰人土田 優美乾 洋武冨 修治門野 夕峰田中 栄藤尾 圭志山本 一彦
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2016 年 39 巻 4 号 p. 416b

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抄録

  【背景】関節リウマチ(RA)由来の滑膜線維芽細胞(FLS)は,関節内の刺激により基質分解酵素やケモカイン・サイトカインを発現し,RAの病態に重要な役割を担う.【目的】本研究では,RA-FLSに特徴的な形質と関連する刺激応答機構を解明することを目的とした.【方法】RAと変形性関節症(OA)の膝関節滑膜由来のFLS(各n = 5)を,各種サイトカイン(TNF-α・IL-1β・IL-6/sIL-6R・IL-17A・IL-18・IFN-γ・IFN-α・TGF-β1)および関節液中のサイトカインの混在をシミュレートとした全サイトカインのコンビネーションで刺激した.刺激後10,24時間における遺伝子発現を,RNA-seqにより網羅的に解析した.【結果】Multi-dimensional scaling plotにより遺伝子発現を俯瞰すると,各刺激後の変動ベクトルはRAとOAで類似したが,無刺激および各刺激後にも保存される遺伝子発現の差が存在した.Pathway解析の結果,OAと比較しRAで有意に下流遺伝子の活性化が予測される12個の転写因子が同定された.そのうち,E2F6・HSF1・KDM5B・NUPR1・TP53は,刺激下で有意に下流遺伝子の発現に影響することが推測された.【結語】トランスクリプトームの網羅的解析により,RA-FLSの転写因子を中心とした分化経路が明らかとなることが期待される.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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