日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P2-27 関節リウマチの新しい治療標的としてのlysyl oxidase-like 2
齋藤 鉄也川畑 公人上阪 等
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2016 年 39 巻 4 号 p. 417a

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抄録

  【目的】免疫担当細胞を標的とした関節リウマチ(RA)治療薬の寛解率は不十分であり,さらなる免疫抑制は重篤な感染症を来しうる.このため,滑膜線維芽細胞(SF)は次世代のRA治療標的として期待される.Lysyl oxidase-like 2(LOXL2)は,がん細胞や活性化した線維芽細胞で発現が亢進し,細胞外ではコラーゲン重合,細胞内では転写制御に関与し,がんや線維症の病態に寄与することが報告されている.本研究では,RASFにおけるLOXL2の機能を解明することを目的とした.【方法】LOXL2の発現をRT-PCRおよびウェスタンブロットで確認した.レンチウイルスによるshRNA導入でLOXL2発現をノックダウンした.RASFの細胞増殖,浸潤能,コラーゲン沈着をEdU取り込み,マトリゲル浸潤アッセイ,免疫蛍光抗体法で評価した.マウスにコラーゲン誘導性関節炎(CIA)を起し,LOX阻害剤であるβ-aminopropionitrile(BAPN)を投与した.【結果】LOXL2の発現はRASFでは認めたが,末梢血単核球細胞では認めなかった.LOXL2ノックダウンによりRASFの細胞増殖,浸潤能,コラーゲン沈着は低下した.また,BAPN投与はCIAを抑制した.【結論】LOXL2はRASFの活性化や細胞外基質の形成に関与し,RAの新たな治療標的になることが示唆された.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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