日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P2-32 STAT1機能獲得型変異による原発性免疫不全症患者を対象とした国際調査
岡田 賢津村 弥来西村 志帆坂田 園子Toubiana JuliePuel AnneCasanova Jean-Laurent小林 正夫
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2016 年 39 巻 4 号 p. 419b

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抄録

  慢性皮膚粘膜カンジダ症(CMCD)は,皮膚粘膜を主病変に慢性・反復性にカンジダ感染を繰り返す原発性免疫不全症である.2011年に我々は,STAT1のヘテロ接合性機能獲得型変異(GOF変異)により常染色体優性遺伝を呈するCMCDが発症することを発見した.さらに後の研究で,CMCD患者の約半数がSTAT1-GOF変異を有することを同定した.今回,STAT1-GOF変異を有する患者の臨床症状を明らかとするため,主治医に対して質問紙による国際調査を行った.対象はSTAT1-GOF変異が証明されている274症例(167家系)で,計40か国の患者を調査した.慢性の皮膚粘膜カンジダ感染(CMC)を98%に認め,発症平均年齢は1歳であった.CMCは反復性かつ難治性で,73%は抗真菌薬の長期間投与が必要であった.CMC以外に細菌感染(74%),ウイルス感染(38%),抗酸菌感染(6%)を認めた.感染症以外の合併症では自己免疫性疾患(37%)を高頻度に認め,自己免疫性甲状腺炎(23%),I型糖尿病(4%),汎血球減少(4%)を発症した.侵襲性感染症(25%),頭蓋内動脈瘤(6%),悪性腫瘍(6%)が予後不良因子であり,これらを持たない患者の予後は良好であった.末梢血の検査所見では,IL-17産生T細胞の減少(82%),メモリーB細胞の減少(49%)が特徴的であった.STAT1-GOF変異はCMCD患者の原因として発見された経緯を持つが,本調査で患者が当初の予想より幅広い臨床症状を呈することが判明した.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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