2016 年 39 巻 4 号 p. 421a
現在3歳7ヶ月男児.1歳0ヶ月時に川崎病免疫グロブリン不応例の診断で当院紹介となった.来院時,川崎病症状の他に,肝脾腫,二系統血球減少,高AST/ALT/LDH血症,低補体血症,可溶性IL2受容体高値,抗ds-DNA抗体陽性,T細胞受容体αβ発現double negative T細胞の増多を呈し自己免疫性リンパ増殖症(ALPS)が疑われ精査・加療が行われた.FAS,FASLG,NRAS,KRASの変異は見られなかったが,エクソーム解析においてTNFAIP3(A20)のヘテロのナンセンスの変異を認めた.変異はde novoであり,患者細胞をもちいた機能解析の結果,NFB経路の活性化が認められ,TNFAIP3(A20)が責任遺伝子であると考えられた.児は経過中,自己免疫性肝炎,ネフローゼ症候群を併発し,ステロイドパルスを3クール施行された.現在はプレドニン,ミコフェノール酸モフェチル,タクロリムスにより加療されており肝機能障害およびネフローゼ症状は沈静化しているが,可溶性IL2受容体は依然高値を示しており治療に難渋している.TNFAIP3(A20)ハプロ不全によるALPS例として臨床経過を中心に報告する.
共同演者 東京医科歯科大学医学部 小児科
Tzuwen Yeh,朴 今花,星野顕宏,山下 基,南谷真衣,岡野 翼,高木正稔