2016 年 39 巻 4 号 p. 422b
近年,進行期悪性黒色腫に対する免疫療法や分子標的薬の効果が示されてきた.さらなる治療効果の増強を目指し我々は新たな治療の標的となる分子を探索している.Forkhead box M1(FOXM1)は細胞増殖に重要な遺伝子の発現を調整する転写因子の一つであり,癌細胞の増殖・生存に必要不可欠である.FOXM1は種々の癌細胞株に過剰発現している事が報告されており,一方正常組織には胸腺等一部を除いては発現していないため免疫療法の良い標的として期待されている.本研究ではFOXM1のメラノーマにおける発現をメラノーマ患者組織で検討しFOXM1の発現と病期や予後との関連を検証する事,ヒトメラノーマ細胞株を用いてMAPK, PI3K/AKTシグナル経路におけるFOXM1の関与を検討する事を目的とした.qRT-PCR,Western blotting法,免疫組織学的解析を用いてFOXM1の発現を検討した.免疫組織学的解析でprimary melanomasの49%,metastatic melanomasの67%でFOXM1が発現していたのに対し,nevusではその発現は10%であった.Primary melanomasでoverall survivalとFOXM1の発現を検討すると,発現している症例は発現していない症例と比較し予後が悪かった(p 0.024).メラノーマ細胞株においてsiRNAを用いてFOXM1を抑制すると細胞増殖が抑制され,さらに阻害剤を用いてMAPKシグナル経路,PI3K/AKTシグナル経路を阻害するとFOXM1の発現も低下した.FOXM1はメラノーマ治療における新たな標的となる事が期待できる.