2017 年 40 巻 1 号 p. 21-27
背景:家族性地中海熱(familial mediterranean fever = FMF)とは,持続時間が1~3日と比較的短い周期性発熱と無菌性の漿膜炎を主徴とする単一遺伝性自己炎症性疾患である.地中海沿岸地域で最も有病率が高いが,本邦でも責任遺伝子であるMEFV(Mediterranean fever)の同定による遺伝子解析にて,近年より多数の症例が報告されている.当科の外来でも短期間の発熱や腹痛発作を繰り返す症例においてはFMFの診断加療を行なっている.対象:自己免疫性疾患,感染症,悪性腫瘍を除外した上で周期性発作と考えられる症状を繰り返した症例を対象とした.いずれも補助診断として遺伝子解析を施行している.結果:7例の症例がTel-Hashomer criteria基準を満たし,且つMEFV遺伝子変異が検出された.全員が女性であり,半数が月経時に発作症状を認めた.コルヒチンの使用量には差があるも,いずれも効果を得ている.結論:周期性のある症状や,不明熱と称される症例においては除外診断をした上で,FMFを疑い,コルヒチンの効果判定並びに遺伝子解析を行う必要性がある.