日本臨床免疫学会会誌
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総説
慢性皮膚粘膜カンジダ症
岡田 賢
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2017 年 40 巻 2 号 p. 109-117

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抄録

  慢性皮膚粘膜カンジダ感染(CMC: Chronic Mucocutaneous Candidiasis)は,口腔粘膜,消化管,外性器,皮膚,爪を主要病変とし,難治性,反復性のカンジダ感染症を呈する“状態”を示す.カンジダに対する局所免疫には,ヘルパーT細胞の亜群であるTh17細胞と,それが産生するインターロイキン17(IL-17)が重要で,この免疫機構の破綻によりCMCを発症する.本項では,IL-17の障害を背景に発症する原発性免疫不全症である慢性皮膚粘膜カンジダ症(CMCD: CMC disease)と,症候性CMCについて概説する.CMCDと症候性CMCは,CMCを“主要な感染症状”とする原発性免疫不全症という共通の側面を持つ.他方で,CMCDではカンジダ以外の病原体に対する易感染性を原則的に認めないのに対して,症候性CMCでは他の病原体に対する易感染性や臓器症状の合併が認められる.過去の検討で,CMCDの原因としてIL-17シグナル伝達に直接関与する分子群の異常が報告されている.一方で,症候性CMCの原因としてTh17増殖分化に関与する分子群の異常が多く認められることから,両疾患はIL-17シグナル伝達に関与する分子群の異常により発症する遺伝性疾患であることが言える.本項では,CMCDと症候性CMCに着目し,臨床症状,分子病態を概説する.

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© 2017 日本臨床免疫学会
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