全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus: SLE)の予後を規定する難治性病態の一つに,ループス腎炎(lupus nephritis: LN)がある.これまでのオステオポンチン(osteopontin: OPN)の免疫に関連する機能およびLN,IgA腎症などの自己免疫疾患における発現亢進の報告に着目し,LNの血中,尿中における全長OPN(OPN full)および,白血球に対する誘因活性を有するOPN N末端断片(OPN N-half)について解析し,LNにおける疾患バイオマーカーとしての可能性を検討した.結果,LNの尿中OPN N-half濃度は健常人に比べ高値を示し,さらに,同様に蛋白尿を呈するが病態が異なる糖尿病性腎症よりも高値を示した.また,尿中OPN N-halfは,LNの治療強化後に低下傾向を示したことから,糸球体における炎症病態によって産生され,LNの疾患活動性と相関するバイオマーカーとして利用できる可能性が示唆された.