日本臨床免疫学会会誌
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合同シンポジウム1 細菌叢と免疫疾患
JS1-3 皮膚疾患と細菌叢の相互作用
松岡 悠美
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2017 年 40 巻 4 号 p. 257a

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抄録

  皮膚は,物理的,免疫的に外界から宿主を区別し防御する.近年,解析技術の革新的な進歩の中で,腸管の細菌叢と疾患との関わりが明らかになるのに引き続き,皮膚の細菌叢と疾患との関わりも注目されるようになった.実際,皮膚表面には,宿主の構成細胞を遥かに凌駕する数の細菌,真菌,ウイルスなどの微生物が共存し,これらの微生物が宿主免疫の成り立ちにも非常に重要な役割を果たしていることが解析により明らかとなってきている.しかし,普段害なく存在している微生物の中には,特定の条件下で病原性を発現する微生物が存在し,代表的な細菌のStaphylococcus aureusや真菌のCandida albicansなどは最近では“Pathobiont(病原性片(偏)利共生菌)”と称され,いわゆる善玉菌と区別されている.最近,このような概念に基づいた最近の研究成果から,皮膚常在微生物を適切なバランスで保つことができれば,皮膚感染症のみならずアトピー性皮膚炎などの発症や増悪を,ある程度防ぐことができるのではないかと考えられている.今回は,特に研究が進んでいるアトピー性皮膚炎とPathobiontであるS. aureus,常在細菌の関わりについて,これまでの研究の進捗と,我々が行っている最新の研究成果について概説する.

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© 2017 日本臨床免疫学会
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