日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
ワークショップ4 in vivo イメージングによる炎症解析
WS4-1 骨・関節炎症の生体イメージング
菊田 順一
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 40 巻 4 号 p. 268b

詳細
抄録

  関節リウマチ(RA)は,炎症性骨破壊を来す難治性の自己免疫疾患である.近年,生物学的製剤の登場により,従来の治療法では疾患活動性をコントロールできなかった症例においても,関節破壊の進行を強力に阻止し,病状を寛解に持ち込むことが可能となった.現在,様々な生物学的製剤(抗TNFα抗体,抗IL-6受容体抗体,T細胞選択的共刺激調節剤)が本邦のRA治療において臨床応用され,その骨破壊抑制効果が示されているが,生体内における各種薬剤の破骨細胞に対する作用機序の差異については不明な点が多い.

  本演者らは,二光子励起顕微鏡を駆使して,個体を生かしたまま生体骨・関節組織内部をリアルタイムで観察するイメージング系を確立した.本技術を用いて,骨表面上での生きた破骨細胞の動態を可視化することに成功し,その制御機構を解明するとともに,各種生物学的製剤が炎症によって誘導された破骨細胞に及ぼす効果を解析し,薬剤間の薬効の差異を明らかにした.

  骨の生体イメージング技術は,生体骨組織内の様々な細胞の時空間的な挙動や機能をリアルタイムで解析することができるため,今後,骨粗鬆症や関節リウマチなどの骨吸収性疾患の病態解明,さらに薬剤のスクリーニングや新規治療薬の開発において強力な手段となり得ると考えられる.

著者関連情報
© 2017 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top