2017 年 40 巻 4 号 p. 268a
アトピー性皮膚炎は,慢性再発性の湿疹を主体とする疾患で,強い痒みを有するのが特徴です.特徴的な皮疹の分布,形態,経過を示せば,高IgE血症を伴わなくてもアトピー性皮膚炎と診断します.強い痒みは睡眠を妨げ,就学や就業や影響を与え,精神的社会的QOLは著しく障害されます.標準治療であるステロイド外用,タクロリムス外用,抗ヒスタミン剤内服は痒みを軽減しますが,患者の満足度を上げるには十分ではありませんでした.インターロイキン31(IL-31)が,マウス,イヌ,サル,ヒトで痒みを誘導することがわかり,IL-31 receptor(IL-31R)に対する抗体療法(nemolizumab)が注目され,臨床試験が行われ,有効であることが示されました.本講演では,IL-31の機能,前臨床試験そして臨床試験の成績について概説したいと思います.