日本臨床免疫学会会誌
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ワークショップ5 慢性炎症と免疫不全
WS5-1 機能獲得型変異による慢性炎症・自己免疫疾患を呈する原発性免疫不全症
今井 耕輔
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2017 年 40 巻 4 号 p. 270a

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抄録

  原発性免疫不全症は,単一遺伝子異常による免疫異常症であり,古典的には,易感染性を示し,機能「喪失」型の遺伝子変異による疾患である.歴史的には,X連鎖劣性,常染色体劣性の疾患の原因遺伝子が明らかになってきたが,近年,次世代シークエンサーの普及により,トリオエクソーム解析(罹患者,両親のトリオで全エクソンの解析を行う方法)が可能となり,突然変異による疾患も発見されるようになってきた.その中で,慢性炎症・自己免疫疾患を呈する疾患もいくつか見つかってきている.特に,獲得免疫系および自然免疫系の両方に関わる転写因子,およびその上流のキナーゼなどで,こうした機能「獲得」型ヘテロ変異による慢性炎症・自己免疫疾患を呈する例が報告されており,日本においても経験しているところである.例として,3つの経路の異常について概説する.すなわち,1.PI3K-AKT-mTOR-S6経路の活性化による,活性化PI3Kδ症候群(APDS),2.JAK-STAT経路の活性化による自己免疫・自己炎症性疾患(STAT1,STAT3,JAK1),3.CTLA4表出障害による免疫不全,自己免疫・自己炎症性疾患であるCHAI病(CTLA4遺伝子変異,LRBA遺伝子変異による)である.これらの疾患は,浸透率も100%ではなく,同じ遺伝子変異でも異なる表現型を呈していることが観察されており,自己免疫・自己炎症性疾患を診療する上では注意が必要である.

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© 2017 日本臨床免疫学会
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