2017 年 40 巻 4 号 p. 286a
自己炎症疾患もしくは自己炎症症候群は1999年にtumor necrosis factor(TNF)receptor-associated periodic syndrome(TRAPS)の原因遺伝子としてTNF receptor superfamily 1A(TNFRSFIA)を報告したKastnerらが用いた “autoinflammatory syndrome” に端を発し,自然免疫の異常がその病態の中心を形成することがわかってきた.狭義の自己炎症疾患は遺伝子異常を伴う遺伝性周期熱症候群であり,体質的に炎症が惹起されやすい状態にあるが,自己炎症疾患が多くの領域で注目される要因として,これら疾患の理解が深まり,今までは原因不明とされてきた炎症性・熱性疾患の中に,自己炎症疾患で説明できる症例が蓄積されたことがあげられる.最も頻度が高い自己炎症疾患は家族性地中海熱(FMF)であり,周期性発熱と漿膜炎を主徴とする遺伝性周期熱症候群で,責任遺伝子として1997年にMediterranean fever遺伝子(MEFV)が同定され,その遺伝子産物であるpyrinの機能異常が病態に深く関わっている.本邦ではMEFV遺伝子のヘテロ変異/多型を呈する症例が多いことが明らかとなり,私たちは次世代シーケンサーを用いてMEFV遺伝子の全塩基配列解析やエクソーム解析を実施し,FMFのゲノム異常→機能変化を基盤としたトランスレーショナル研究を実施している.FMFを含む自己炎症疾患の新たな治療として生物学的製剤が導入されていること,病態に自然免疫が関与すると考えられる疾患群(成人スチル病や全身型若年性特発性関節炎など)も広義の自己炎症疾患として捉えられていることもトピックである.本講演においてはFMFを中心に,自己炎症疾患のゲノム異常,サイトカイン・ケモカイン発現異常,新たに導入された生物学的製剤などについて述べる.