日本臨床免疫学会会誌
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MS1-2 脊椎関節炎と全身性エリテマトーデスの治療におけるトピックス
亀田 秀人
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2017 年 40 巻 4 号 p. 290b

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抄録

  脊椎関節炎(spondyloarthritis; SpA)は付着部炎が主要病態であると考えられており,インターロイキン(IL)-17,IL-22,IL-23,そして腫瘍壊死因子(TNF)が重要な役割を果たしている.実際にこれらのサイトカインを阻害する抗体製剤は非常に高い有効性を示す.そしてTNFは関節リウマチ(RA)にも有効であるが,IL-17やIL-23を標的とした治療はRAに十分な効果が見られなかったことから,関節病態の異同の検証にも有用な情報を提供した.SpAの中で乾癬性関節炎に関しては皮膚科医とリウマチ医の連携した診療が確立しつつあるが,今後は体軸性(axial)SpA,特にnon-radiographic axial SpAの疾患概念の確立と,整形外科医とリウマチ医の連携と早期診断に基づく治療が我が国における急務である.

  全身性エリテマトーデス(SLE)では1型インターフェロンの重要性が知られており,その受容体に対するモノクローナル抗体製剤の有用性が報告されている.B細胞の活性化を阻害するベリムマブやアタキセプトの治験も進められている.

  SpAとSLE,そしてRAに共通するトピックスとして,同一のサイトカインを阻害する抗リガンド抗体製剤と抗受容体製剤が開発されており,その異同が論じられるようになったこと,ヤヌスキナーゼ阻害薬の開発が急速に進められていることである.今後得られる新知見は臨床免疫学の発展を益々加速するものと確信している.

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© 2017 日本臨床免疫学会
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