2017 年 40 巻 4 号 p. 293a
【目的】IgG4関連疾患(IgG4RD)は近年確立した疾患概念であり,I型自己免疫性膵炎,IgG4関連涙腺・唾液腺炎など多くの疾患を包含し,自己免疫が関わると想定されている.本研究では,IgG4RDに関わる遺伝要因を同定することを目的とする.【方法】48施設から集積した合計850名の症例群と2082名の健常者群のDNAを用い,2,310,564の一塩基多型(SNP)のジェノタイピングを行った.HLA領域についてはSNP2HLAプログラムを用いたimputationを行い,ダイレクトシーケンスも用いてHLAアレルの決定を行った.IgG4RD発症において有意に関連していた遺伝子多型とIgG4RDの臨床的特徴との関連も解析した.【成績】HLA領域とFCGR2B領域の二領域がIgG4RDに有意に関連していた(p≦1.2x10−11).HLA領域は,HLA-DRB1とHLA-Aに有意な独立したピークを同定した.ペプチド結合部位であるHLADRβ鎖の11番目のアミノ酸部位が最も強く関連しており(p = 1.3x10−22),この部位は他の自己免疫性疾患である関節リウマチ・全身性エリテマトーデスにおいて最も関連を示す部位と共通であった.FCGR2BのSNPは最もFCGR2B遺伝子発現と関連する多型であり,アミノ酸変異を伴う多型と連鎖不平衡にあった.さらに,このSNPはHLA領域の多型と相互作用を示すほか,再発率にも関連していた.【結論】IgG4RDには複数のHLA領域とFCGR2B領域が関連し,他の自己免疫性疾患と共通の遺伝的背景を持つ.FCGR2Bは発症だけでなく予後にも関連する.