日本臨床免疫学会会誌
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研究奨励賞セッション
KS-6 RNA sequencingを用いた全身性エリテマトーデスのB細胞受容体配列解析によって示唆されるB細胞レパトア成熟異常
太田 峰人石垣 和慶住友 秀次竹島 雄介岩崎 由希子高地 雄太藤尾 圭志
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2017 年 40 巻 4 号 p. 294b

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抄録

【目的】全身性エリテマトーデス(SLE)では多様な自己抗体が病態に関与していると考えられているが,その産生機序は不明な点が多い.B細胞受容体(BCR)のCDR3配列は多様性に富み従来の少数細胞での検討では網羅的解析が困難であった.本研究ではRNA sequencing(RNA-seq)を用いて各分化段階のB細胞のCDR3配列を解析し,SLEにおけるB細胞受容体レパトア形成の解明を目的とする.【方法】SLE 50例・RA 30例・健常人37例の末梢血B細胞5サブセットのRNA-seqを行いIGH・IGK・IGLのCDR3アミノ酸配列とその発現量を解析した.複数人で共有されるCDR3アミノ酸配列をpublic sequenceと定義し,疾患による発現の違いを検討した.【結果】Public sequenceをSLE・RA・健常人で比較したところアンスイッチメモリーB細胞・スイッチメモリーB細胞・plasmablastにおいて発現パターンの相違を認めた.またSLEを特徴づけRAもしくは健常人とSLEを効率的に分類する33種のpublic sequenceを機械学習法によって同定した.それらの一部は発現量が血清中の抗U1-RNP抗体価・抗ds-DNA抗体価と有意に相関し,plasmablastにおいてmutationを受けておらず,発現量が1型インターフェロン感受性遺伝子発現量と相関した.【結論】SLEではsomatic hypermutationを受けないpublic sequenceが存在し,その一部は自己抗体価と相関がみられた.SLEにおける自己抗体産生はB細胞レパトア成熟段階における異常に起因する可能性がある.

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© 2017 日本臨床免疫学会
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