日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
研究奨励賞セッション
KS-5 エクソソームによる制御性T細胞の抑制;多発性硬化症における新たな疾患メカニズム
木村 公俊北條 浩彦福岡 聖之佐藤 和貴郎高橋 良輔山村 隆
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 40 巻 4 号 p. 294a

詳細
抄録

  エクソソーム(exosome)は細胞間情報伝達に関わる微小胞で,miRNA等を内包している.miRNAはT細胞分化を含めた免疫機構に深く関わっているが,多発性硬化症(MS)における,miRNAを介したexosomeの関与について報告はない.

  本研究では,血漿中exosomeに含有されるmiRNAを解析し,健常人(HC)とMS患者において発現プロファイルが異なっていることを見出した.また,T細胞にMS患者由来のexosome(MS-exo)を添加・培養すると,HC-exo群に比して制御性T細胞(Treg)の頻度が低下した.また,MS-exoで高発現しているlet-7iをT細胞に導入することで,同様にTregが減少した.次に,let-7iによって発現が抑制されるターゲット遺伝子候補をデータベースから抽出し,実際にT細胞へlet-7iをtransfectionすることで,insulin-like growth factor 1 receptor(IGF1R)とTGF beta receptor 1(TGFBR1)の発現低下を確認した.また,T細胞のIGF1RとTGFBR1をsiRNAによってknock downすることで,Tregの頻度が低下し,Tregの分化抑制も認めた.最後にEx vivoでの,MS患者の末梢血解析から,CD4 T細胞におけるTGFBR1とIGF1Rの発現低下を認めた.さらに,MS患者ではTregが減少しており,その頻度とnaive CD4 T細胞のTGFBR1の発現量に正の相関を認めた.

  本研究により,let-7i–IGF1R/TGFBR1経路を介して,MS患者の末梢血中のエクソソームがTreg頻度を低下させていることが示唆され,新たな疾患メカニズムと考えられた.

著者関連情報
© 2017 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top