日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター) 1 免疫不全・免疫異常
P1-25 CTLA-4遺伝子多型により多彩な自己免疫疾患を併発したと推察される一例
前島 圭佑清永 恭弘今田 千晴大村 雄一石村 匡崇高田 英俊大西 秀典石井 宏治柴田 洋孝
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2017 年 40 巻 4 号 p. 304a

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抄録

  症例は25歳女性.X-17年に慢性甲状腺炎,X-4年に高安動脈炎,X-2年に炎症性腸疾患が判明.X-4年よりPSL,MTX,TAC,インフリキシマブ(IFX)による加療を継続していた.X-1年(PSL 9 mg),IgGが400~600 mg/dLに低下しニューモシスティス肺炎などの感染症が続発したためPSL単独療法に切り替えた.X年3月,口腔内潰瘍が多発したためPSL 30 mgへ増量したところIgGが200台に低下.B細胞数が0%であり免疫不全症の関与が示唆された.同年5月,消化管潰瘍による下血のため緊急入院.IFXを再開しPSLを漸減したところ消化管病変は改善しIgGも上昇したが,血小板数が急速に低下し7月はほぼ連日の血小板輸血を要した.自己免疫機序が疑われたがPSL増量への反応は部分的であり,CyAも無効であった.8月にCTLA-4遺伝子多型(c.49A > G:ホモ)が判明したため9月よりアバタセプト(ABT)を導入したものの効果は見られず,12月に肺胞出血を起こし死亡した.本例は加齢に伴い複数の自己免疫疾患を発症した原発性免疫不全症の一例である.制御性T細胞(Treg)数が減少しており,病態への関与が示唆された.ABTは臨床的に無効であり,Treg数も不変であった.細胞内におけるCTLA-4機能不全をABTにより補うことは困難であるように思われた.TNF阻害療法は複数の病像に有効であったが,血小板減少症には無効であった.ステロイド治療に伴いIgGが著明に減少する症例ではCTLA-4の機能不全が潜在している可能性がある.

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© 2017 日本臨床免疫学会
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