2017 年 40 巻 4 号 p. 305b
フローサイトメトリー(FCM)を用いたヒトの免疫細胞分化状態の検討は,その異常を単一遺伝子異常によって来す原発性免疫不全症(PID)の診断を行う上で基本となる情報である.最近8~13色の蛍光色素をラベルしたモノクローナル抗体を用いたFCM解析方法が提唱されてきており,我々もPIDの診断に有用であり,他の免疫疾患における分化異常を考える上でも有用であることを報告した(Takashima T, et al, J Clin Immunol, 2017).しかし,多色によるFCM解析では,蛍光補正が複雑となり,その実験条件を設定するのも困難である.さらに,1種類新しい抗体を加え,解析を行う時にも条件設定が比較的煩雑である.スペクトル型セルアナライザーは,フィルターを用いて分光し,それぞれを光電子増倍管(PMT)で測定する従来型のFCMと異なり,複数のプリズムで分光した後,32個のPMTで検出した蛍光測定データを分光スペクトルパターンとして扱い,デコンボリューション計算によりそれぞれの蛍光色素の量を算出する方法である.これにより,細胞の自家蛍光も含めた蛍光補正が自動かつ高精度に可能といった特徴がある.我々は,従来型FCMでの解析と並列してこの装置でのヒト免疫細胞分画法の検討を行い,同等の診断を行う条件を容易に出せることを確認した.また,Il2RG, PIK3CD, STAT3, NEMO, CD40Lなどの単一遺伝子異常を呈するPID,原因不明のPIDでの検討も行ったので,報告する.