日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター) 2 皮膚・生殖免疫
P2-39 ゲノムワイド関連解析を用いた産科抗リン脂質抗体症候群の新たな関連遺伝子の探索
吉原 紘行大前 陽輔杉浦 真弓川嶋 実苗豊岡 理人Khor Seik-Soon澤井 浩美堀田 哲也渥美 達也村島 温子藤田 太輔藤田 富雄森本 真司森下 英理子北折 珠央片野 衣江尾崎 康彦徳永 勝士
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2017 年 40 巻 4 号 p. 318c

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抄録

【目的】抗リン脂質抗体症候群(APS)は,不育症の最も重要な治療可能な原因であるが,抗凝固療法にもかかわらず出産率は70∽80%に限られる.Lupus Anticoagulant(LA)陽性,抗リン脂質抗体(aPL)複数陽性は妊娠予後不良と関連すると報告されている.抗カルジオリピン抗体に焦点を当てたゲノムワイド関連解析(GWAS)によっていくつかの関連遺伝子が報告されたが,産科APSに着目した遺伝子の探索は行われていない.そこでLAに焦点を当てた産科APSのGWASを施行した.【方法】国際抗リン脂質抗体学会の基準に従って診断された産科APSのうちLA強陽性患者115人と419人の健常者との426,344のSNPの対立遺伝子または遺伝子型頻度をGWASによって比較した.候補領域についてimputation解析を実施し,validation studyも行った.【成績】TSHRの3'UTR上に位置するSNP(rs2288493)は,recessive modelで有意な関連(P = 7.85E-08,OR = 6.18)を示した.C1D周辺に位置するSNP(rs79154414)は,imputation解析後に対立遺伝子モデルにおいて有意な関連(P = 4.84E-08,OR = 6.20)を示した.【結論】TSHRおよびC1Dが産科APSに関連している可能性が示された.これらを含めた候補遺伝子について関連を確認する必要がある.

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© 2017 日本臨床免疫学会
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