日本臨床免疫学会会誌
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総説
関節リウマチにおけるACPAの病原性について
梅田 直人松本 功住田 孝之
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2017 年 40 巻 6 号 p. 391-395

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抄録

  関節リウマチ(rheumatoid arthritis: RA)ではACPA(anti-citrullinated protein/peptide antibody)が特異度高く上昇しており,臨床では抗CCP(cyclic citrullinated peptides)抗体がRAの診断において汎用されている.ACPAはHLA-DRなどの遺伝的背景に,歯周病や喫煙などの環境要因が重なり産生されると考えられているが,産生されたACPAがRAの病態にどのように関わるかはまだ十分に解明されていない.近年,ACPAまたはACPAを含む免疫複合体がTNFなどの炎症性サイトカイン産生を促進することが示された.また,RA滑膜ではPAD(peptidylarginine deiminase)が発現しており,シトルリン化蛋白が存在し,ACPAがRA滑膜のCD68陽性細胞のシトルリン発現部位に沈着することから,関節局所での炎症反応にACPAが関与していることが示唆された.さらにRAでは骨・軟骨の破壊を認めるが,ACPAの沈着により破骨細胞形成が促進され骨量低下を引き起こすことも示されている.本稿ではこれまでに報告されてきたACPAの病原性について概説する.

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