日本臨床免疫学会会誌
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総説
腸内細菌叢と免疫の関わり
種本 俊筋野 智久金井 隆典
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2017 年 40 巻 6 号 p. 408-415

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抄録

  ヒトには1000種,100兆個を超える腸内細菌が存在する.これらが構成する腸内細菌叢は免疫や代謝を介して宿主であるヒトと複雑な相互作用を形成し恒常性を維持している.腸内細菌叢の構成菌種の変容や異常増殖,減少はdysbiosisと呼ばれ,ヒトの腸管のみならず,全身の免疫系,代謝機構に異常を引き起こす.脂肪肝炎やメタボリックシンドローム,関節リウマチ,自閉症,多発性硬化症などさまざまな疾患にdysbiosisが寄与している可能性が示唆されている.近年の腸内細菌解析技術の発展により,ヒトの腸内細菌叢を構成する菌種の同定のみならず,代謝やタンパク質発現を介した複雑な相互関係が明らかになってきている.また,腸管上皮細胞や免疫細胞と腸内細菌との相互作用の実際が分子レベル,遺伝子発現レベルで明らかになってきており,それぞれの疾患の病態解明や新しい治療対象として実用化が期待される.炎症性腸疾患においてはCrostridium butyricumなどの酪酸産生菌が炎症抑制作用を持ち,注目を集めている.また腸内細菌叢を対象としたFMT(Fecal microbiota transplantation)も実用化に向けて検討が進められている段階である.

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© 2017 日本臨床免疫学会
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