2017 年 40 巻 6 号 p. 460-466
49歳女性,主訴は全身関節痛.既往歴は橋本病.シェーグレン症候群にて当院かかりつけであったが,平成28年7月頃より前胸部痛と多関節痛が出現.来院時採血はANA: 640倍(Sp),WBC: 12700/μl,CRP: 24.8 mg/dl,赤沈1 H: 122 mm.臨床症状では高度の両手指関節の腫脹・圧痛を認めた.またASK: 1179 IU/ml,ASO: 10240倍と繰り返す扁桃炎のエピソードもあった.手指の膿疱性皮疹を認め,骨シンチでは手指関節に集積,MRIで手指関節の骨びらん,慢性再発性多巣性骨髄炎が指摘されておりSAPHO症候群が疑われた.しかし急性の炎症所見,MRIで仙腸関節炎の所見,また扁桃病巣感染症の存在から,反応性脊椎関節炎も鑑別に挙がる.両者の厳密な鑑別は難しく,診断に苦慮したため,本症例に文献的考察を加えて報告する.