抄録
ウシ赤血球膜から分離されたHighmolecular weight glycoprotein (HMWGP)はneuraminidase処理で失活するN-glycolyl neuraminic acid (NGNA)と,失活しないasialo-HMWGPの2種のH-D抗原活性を持つ.著者らはHMWGPを用いたEIAとウシ赤血球凝集反応により, 10例の肝疾患々者血清中H-D抗体の対応抗原を検討した.
EIAにおいて10例中4例はHMWGPとasialo-HMWGPの両抗原に対して高い抗体活性を示した. 6例はHMWGPに高い抗体活性を示したが, asialo-HMWGPに対する抗体活性は低く,その6例中2例はasialo-HMWGPに対する抗体活性を示さなかった.前者のウシ赤血球凝集反応はHMWGPとasialo-HMWGPで阻止され,後者はHMWGPで阻止されたが, asialo-HMWGPで阻止されなかった.
以上から, 4例のH-D抗体の対応抗原は, asialo-HMWGP, 2例のH-D抗体の対応抗原はNGNAであり,残る4例は両抗原に対するH-D抗体を合わせ持つと考えられた.