MRL/Mp-
lpr/
lpr (MRL/
l)マウスを用い, corticosteroid (betamethasone)の
in vivo投与における皮膚ならびに腎臓のhistamine分解酵素活性に及ぼす影響を検索した. MRL/
lマウス背部皮膚の同酵素活性は皮膚病変発生に一致して低下し, corticosteroid投与によって回復した.一方,腎においては,加齢に伴ってhistamine分解酵素活性は増加し, corticosteroid投与による変動はみられなかった.さらには,還流,未還流腎の間に酵素活性の差異は認められず,全血,血漿中に酵素活性はほとんど見出されなかった.
同じように免疫グロブリンや補体の沈着を認めても,皮膚病変,腎病変の発症には異なったメカニズムが働いているのかもしれない.しかし,ヒト,マウス,モルモットの皮膚III型アレルギー反応に共通してhistamine分解酵素活性の低下がみられたことより,本現象は皮膚III型反応に特徴的なものと思われる.さらには,同酵素活性の低下により皮膚III型反応局所において遊離されたhistamineの生理作用は遷延し,組織障害をもたらす可能性が考えられる.また, MRL/
lマウスの背部皮膚病変部において, corticosteroid投与群,未投与群の間には,肉眼的,組織学的,免疫病理学的観察において差異がみられなかったことより,同酵素活性の低下は組織学的変化に先立つ現象とも考えられる.
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