日本臨床免疫学会会誌
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10 巻, 1 号
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  • 笠倉 新平
    1987 年10 巻1 号 p. 1-9
    発行日: 1987/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 橋本 修一, 水野 嘉夫, 村岡 松生, 土屋 雅春
    1987 年10 巻1 号 p. 10-18
    発行日: 1987/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    重症筋無力症患者から得た胸腺上皮細胞の培養上清(STEC)中には,家兎洗浄血小板のADP凝集,トロンビン凝集のいずれをも濃度依存的に阻害し,血小板内cyclic AMP, cyclic GMP量を増加する因子が存在した.対照として用いたChang, Hela, HCC-Mの細胞培養上清中には, STEC様の生物活性は認められなかった. STECの血小板凝集阻害作用および血小板内cyclic AMPの増加作用は,いずれもSTEC添加後2分以内に最大活性の50%以上が出現するきわめて早い反応であり,これら活性は分子量1,000以上の分画中に大部分存在しており, STECのpronase処理で消失し,熱に対して比較的安定していることがわかった. STEC中には,培養溶液中の2倍量のprostaglandin E誘導体が存在していたが, Ca++, adenine, adenosine, guanine, guanosineの含量に有意な変化は認められなかった.
    以上の結果から, STEC中には血小板に対して生物活性を有する複数の物質が遊離してきており,これら物質は活性ポリペプタイドとprostaglandin E類であることが強く示唆された.
  • 峠 哲哉, 山田 博文, 世戸 芳博, 山口 佳之, 沢村 明広, 柳川 悦朗, 服部 孝雄, 畠山 哲朗
    1987 年10 巻1 号 p. 19-23
    発行日: 1987/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    経口的非特異的免疫療法の可能性を考慮して,大腸癌患者においてOK-432を経口投与し,所属リンパ節の免疫学的活性および免疫組織学的にT細胞亜群の検討を行った.
    OK-432 20KEを手術1週間前に経口投与し,手術時に末梢血および所属リンパ節を採取した.末梢血リンパ球におけるリンパ球幼若化反応, Con-A誘導サプレッサー細胞活性は経口投与群および非投与群において差を認めなかった.所属リンパ節においては,経口投与群では非投与群に比べNK細胞活性は有意に増強され(p<0.05),またCon-A誘導サプレッサー細胞活性は低下した.さらに経口投与群においては, OKT 8陽性およびLeu 7陽性細胞が増加した.こうしたことより,臨床的にOK-432経口投与により大腸癌所属リンパ節の免疫活性が賦活されることが示された.
  • 山岡 國士, 宮坂 信之, 佐藤 和人, 奥田 正治, 西岡 久寿樹
    1987 年10 巻1 号 p. 24-30
    発行日: 1987/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Sjögren症候群(SjS)におけるB細胞活性化のメカニズムを解析する目的で, SjS末梢血B細胞のin vitroにおけるB細胞刺激因子(BSF)に対する反応性について検討した.その結果, SjS B細胞は抗イムノグロブリン(Ig)抗体などの刺激を必要とせず, BSF単独刺激により有意なIgG産生を認めた.このことよりSjS細胞はin vivoにおいてすでに活性化されており, BSFアクセプターを発現していることが推測された.これに対してSjS B細胞のStaphylococcus aureus Cowan I (SAC)に対する増殖能およびB細胞分化抗原の発現には正常人との間に有意差を認めなかった.なお検討したSjS症例中1例においては無刺激下で長期培養B細胞株が得られ,末梢血B細胞とB細胞株のBSFに対する反応性につき比較検討した.
  • 深沢 潔, 安藤 弘, 中山 孝一, 高橋 比路美, 新保 敏和
    1987 年10 巻1 号 p. 31-37
    発行日: 1987/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    NK細胞は生体内で腫瘍細胞やウイルス感染細胞などの破壊に働くと考えられている.したがって, NK細胞も他のリンパ球サブセットと同様に生体内の免疫監視機構の制御を受けていると推察されるので, NK細胞への抑制因子の検討を行った.
    白血球混合培養(MLC, one-way)の上清中には種々のリンパ球活性に対する抑制因子が含まれているが,培養72時間のMLC上清にNK抑制活性が検出された.この抑制はMLCの反応細胞とautologousなNK細胞に対して,またはallogeneicなNK細胞に対しても同等な活性であった.泌尿器系癌患者から得たMLC上清を健康成人のNK細胞に加えてその影響をみたところ,前立腺癌(M0)と腎癌(M0, M1)でそのNK抑制活性が低下していた.一方,健康成人由来のMLC上清に対する癌患者NK細胞の感受性は膀胱癌,前立腺癌,腎癌のほぼ全例において欠如していた.
  • 立花 隆夫, 古川 福実, 谷口 信吉, 今村 貞夫
    1987 年10 巻1 号 p. 38-44
    発行日: 1987/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    MRL/Mp-lpr/lpr (MRL/l)マウスを用い, corticosteroid (betamethasone)のin vivo投与における皮膚ならびに腎臓のhistamine分解酵素活性に及ぼす影響を検索した. MRL/lマウス背部皮膚の同酵素活性は皮膚病変発生に一致して低下し, corticosteroid投与によって回復した.一方,腎においては,加齢に伴ってhistamine分解酵素活性は増加し, corticosteroid投与による変動はみられなかった.さらには,還流,未還流腎の間に酵素活性の差異は認められず,全血,血漿中に酵素活性はほとんど見出されなかった.
    同じように免疫グロブリンや補体の沈着を認めても,皮膚病変,腎病変の発症には異なったメカニズムが働いているのかもしれない.しかし,ヒト,マウス,モルモットの皮膚III型アレルギー反応に共通してhistamine分解酵素活性の低下がみられたことより,本現象は皮膚III型反応に特徴的なものと思われる.さらには,同酵素活性の低下により皮膚III型反応局所において遊離されたhistamineの生理作用は遷延し,組織障害をもたらす可能性が考えられる.また, MRL/lマウスの背部皮膚病変部において, corticosteroid投与群,未投与群の間には,肉眼的,組織学的,免疫病理学的観察において差異がみられなかったことより,同酵素活性の低下は組織学的変化に先立つ現象とも考えられる.
  • 柳川 悦朗, 峠 哲哉, 荒谷 清司, 沢村 明広, 山田 博文, 藤田 毅, 山口 佳之, 国延 浩史, 服部 孝雄
    1987 年10 巻1 号 p. 45-51
    発行日: 1987/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胃がんあるいは食道がん患者脾細胞(SC)のnatural killer (NK)細胞活性,および非特異的リンパ球幼若化反応に対するサプレッサー細胞活性とを脾静脈血(SVL)あるいは末梢血リンパ球(PBL)と対比して検討した.がん患者PBLのNK細胞活性は有意に低下しており, SVLに比べやや低い傾向を示したが,両者のNK細胞活性は病期の進行とともに低下する傾向がみられた.しかし, SCにおいては病期による影響は少なく,進行例でも高い活性を示した.一方,サプレッサー細胞活性の上昇は病期の進行とともに明らかとなり, SC, SVLあるいはPBLにサプレッサー細胞活性の認められる場合それぞれのNK細胞活性は低値を示した.また, SCにサプレッサー細胞活性が認められる例ではSVLおよびPBLのNK細胞活性は低値を示した.以上より,進行がん患者の脾はサプレッサー細胞活性が優位であり,非特異的サプレッサー細胞はNK細胞活性を制御している可能性が示唆された.
  • 山田 祐司
    1987 年10 巻1 号 p. 52-59
    発行日: 1987/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Paper discにrabbit thymus extract (RTE)を共有結合させ,これを固相に用いたenzyme linked immunosorbent assay (ELISA)法により抗ribonucleoprotein (RNP)抗体の免疫グロブリンクラス別(以下クラス別)測定および定量を試みた.抗RNP抗体のほとんどがIgGクラスに属し,一部はIgAクラスにも検出された.つぎに抗RNP抗体の定量をするために,抗RNP抗体の単独陽性患者血清より得られたIgG分画を3Hラベルし,これをRTE結合Sepharose 4Bと反応,結合させ,得られたSepharose 4Bの放射活性を測定した.これによりIgG分画中の抗RNP抗体の占める割合を求め,抗RNP抗体を定量し,標準血清とした.またこの標準血清を用い,抗RNP抗体量測定のための検量線を作成した.この検量線を用い,被検血清の抗RNP抗体の定量を行った.この方法により得られた20例の膠原病患者血清の抗RNP抗体量は0.16~3.98mg/mlであった.
  • 森藤 隆夫, 佐藤 由起夫, 宇佐見 啓二, 佐川 恵一, 安島 裕之, 西間木 友衛, 粕川 禮司
    1987 年10 巻1 号 p. 60-65
    発行日: 1987/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ウシ赤血球膜から分離されたHighmolecular weight glycoprotein (HMWGP)はneuraminidase処理で失活するN-glycolyl neuraminic acid (NGNA)と,失活しないasialo-HMWGPの2種のH-D抗原活性を持つ.著者らはHMWGPを用いたEIAとウシ赤血球凝集反応により, 10例の肝疾患々者血清中H-D抗体の対応抗原を検討した.
    EIAにおいて10例中4例はHMWGPとasialo-HMWGPの両抗原に対して高い抗体活性を示した. 6例はHMWGPに高い抗体活性を示したが, asialo-HMWGPに対する抗体活性は低く,その6例中2例はasialo-HMWGPに対する抗体活性を示さなかった.前者のウシ赤血球凝集反応はHMWGPとasialo-HMWGPで阻止され,後者はHMWGPで阻止されたが, asialo-HMWGPで阻止されなかった.
    以上から, 4例のH-D抗体の対応抗原は, asialo-HMWGP, 2例のH-D抗体の対応抗原はNGNAであり,残る4例は両抗原に対するH-D抗体を合わせ持つと考えられた.
  • 耿 排力, 近藤 直実, 元吉 史昭, 金子 英雄, 寺澤 総介, 平野 通子, 折居 忠夫
    1987 年10 巻1 号 p. 66-70
    発行日: 1987/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    プラトニンのヒト免疫系に及ぼす作用を末梢リンパ球(PBL)を用いて検討した.プラトニンはPBLの幼若化反応に対しては促進的に作用したが, T細胞マイトゲンPhytohemagglutinin (PHA), B細胞マイトゲンStaphylococcus aureus Cowan I (Cowan I)で刺激した場合,前者に賦活作用を示し,後者に逆に軽度抑制作用を示した, Pokeweed mitogen (PWM)誘導Ig産生系を用いた検討では, T細胞分画, B細胞分画のいずれか一方または両方をプラトニンで処理すると,未処理に比し, Ig分泌細胞は著しく減少したが, 3H-thymidineの取込みは変化しなかった.単クローン抗体によるT細胞サブセットの分析では,プラトニンによりOKT 8陽性T細胞の比率が増加する傾向が認められた.以上のことから, B細胞はプラトニンにより直接的に抑制を受けたが, T細胞については, Fluorescent activated cell sortor (FACS)を用いたT細胞サブセットに関する成績から,ヘルパー,インデューサーT細胞を抑制するのではなく,むしろサプレッサー,キラーT細胞を賦活することによりIg産生を抑制するものと考えられた.
  • 福井 光文, 近藤 啓文, 柏崎 禎夫
    1987 年10 巻1 号 p. 71-77
    発行日: 1987/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    三叉神経障害は,結合組織疾患(CTD)でまれにみられる合併症である.そこで,当院を受診した全CTD 267例から本症を合併した9例を抽出し,臨床免疫学的および電気生理学的検討を加えた. 9例中6例がMCTD,オーバーラップ症候, PSS, SLE疑診が各1例であった.全例女性で,その平均発症年齢な39.2歳であった.全例にレイノー現象がみられ,三叉神経障害との出現間隔は平均20.1ヵ月であった.このうち7例は12ヵ月以内であった. 7例に皮膚硬化があり, 5例は手指以上に及んでいた.多関節炎5例,筋力低下または筋原性酵素の上昇を6例,白血球減少を7例に認めた.抗核抗体,抗RNP抗体は全例に検出された.全例にblink reflexを施行し5例で電気生理学的にも本症を確認できた.以上,三叉神経障害を合併したCTDは, MCTDに近い病像を呈するものが多く,その発症にレイノー現象と抗RNP抗体との関連が示唆された.
  • 真弓 武仁, 長沢 浩平, 山内 保生, 内藤 靖, 草場 公宏, 仁保 喜之, 木村 潤一郎
    1987 年10 巻1 号 p. 78-84
    発行日: 1987/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    systemic lupus erythematosus (SLE)におけるlupus anticoagulant (LA)の臨床的意義を解明するため, SLE 70例のLAを検索し,その臨床像ならびに検査成績を検討した. LA陽性例はSLE 70例中11例(16%)であった. LA陽性群ではLA陰性群に比較して,自然流産(p<0.01),脳梗塞(p<0.05)を発症する頻度が有意に高かった. 1982年改訂SLE分類基準における各項目の陽性率では有意差を認めなかった.しかし,陽性項目数はLA陽性群のほうが有意に少なく,抗DNA抗体価も低値であり,漿膜炎を1例も認めなかったことを考えあわせると, LA陽性SLEのなかには比較的軽症のSLEが多く含まれている可能性が考えられた. LA陽性群では血清梅毒反応生物学的偽陽性(BFP)が有意に高く,血小板数は減少していた.また血小板表面IgG値がLA陽性例で上昇しているという新しい知見を得た.
  • 免疫抑制剤療法との置換え
    高林 克日己, 松村 竜太郎, 小池 隆夫, 冨岡 玖夫, 吉田 尚
    1987 年10 巻1 号 p. 85-90
    発行日: 1987/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    間質性肺炎を呈してプレドニゾロンで治療中であった悪性関節リウマチ(MRA)の59歳の男性が,日和見感染と考えられる侵襲性肺アスペルギールス症を併発した。MRAのコントロールもまだ不十分であったため,免疫抑制剤による治療では困難な状況と考えられた.このため二重濾過血漿分離交換法(double filtration plasmapheresis (DFPP))を施行して原病のコントロールを図りながら,プレドニゾロンを減量し肺アスペルギールス症の治療を行った.こうして感染症の鎮静化のみられたところで再びDFPPから免疫抑制剤による治療に戻し,退院させることができた. DFPPは一方でMRAに有効であると認められながら,設備・費用の面などから長期間の使用には議論のあるところである.したがって今回のように免疫抑制剤の使用が困難なときなどに限った, DFPPの一時的な使用法も今後検討されるべきと考えられた.
  • 河野 通史, 佐藤 幹弥, 松山 隆治, 宮田 亮
    1987 年10 巻1 号 p. 91-97
    発行日: 1987/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(SLE)経過中に肝のmultiple nodular hyperplasiaに起因する門脈圧亢進症を合併した症例を報告する. 30歳女性. 23歳時発症のSLEでprednisolone 10mg/日の維持量で某医通院中,昭和59年10月25日突然吐血をきたし当院へ入院した.高度貧血,巨脾を呈し,食道内視鏡,腹部エコー,腹部CT,肝シンチ所見より門脈圧亢進症による食道静脈瘤破裂と診断した.頻回吐血のため第8病日に摘脾および食道離断術を施行した.術中門脈圧は27cmH2Oと高度亢進し,肝表面は凸凹を呈しwedge biopsyにてmultiple nodular hyperplasiaの所見であった.第23病日,術後離断部縫合不全および敗血症を併発し死亡した.
    本症例は,レイノー現象を有し,抗RNP抗体陽性で腎病変は軽度であり,肺高血圧症を合併していた.
  • 千布 裕, 末廣 和久, 林田 一洋, 野村 秀幸, 横田 英介, 渋谷 恒文, 石橋 大海, 草場 公宏, 仁保 喜之
    1987 年10 巻1 号 p. 98-104
    発行日: 1987/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    典型的なルポイド肝炎発症以前から肝組織像の経過が追えた一例を報告する.症例は46歳の女性, 32歳時より多関節痛, 40歳時より高γグロブリン血症,抗核抗体陽性を指摘されていた. 45歳時に橋本病発症,このとき肝機能異常を認め,その後肝機能の急性増悪を繰り返した.免疫学的にも末梢血中IgGは漸増, LE細胞現象,抗肝細胞膜抗体が陽性化, OKT 4陽性細胞は漸次低下, OKT 8陽性細胞は漸次増加した.経時的な肝生検では肝組織像は慢性肝炎非活動型から慢性肝炎活動型,最終的には,典型的なルポイド肝炎の像を呈した.本症例は高γグロブリン血症や自己抗体の出現が肝障害発症以前より認められており,ルポイド肝炎でも発症以前に自己抗体の出現を伴う免疫異常が先行することがあることを示唆している.
  • 成島 勝彦, 椛島 悌蔵, 渡辺 宏, 鈴木 博史, 河野 一郎, 山根 一秀, 柏木 平八郎
    1987 年10 巻1 号 p. 105-111
    発行日: 1987/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    抗生剤投与を契機に間質性肺炎を併発した全身性エリテマトーデス(SLE)の症例を経験したので,文献的考察を加え報告する.症例は50歳女性,発熱,関節痛を主訴として近医よりアモキシシリンの投与を受けていたが症状改善せず精査治療目的にて本院入院となった.入院時,関節炎,白血球減少, LE細胞陽性,抗DNA抗体陽性,補体値低下,抗核抗体陽性によりSLEと診断された.胸部X線像では間質性肺炎を認めた.抗生剤は中止し,プレドニゾロン(PSL) 60mg投与開始後,症状,検査成績および間質性肺炎は改善し, PSLは順調に減量可能であった. PSL 35mg投与中に副鼻腔炎の治療と用てセファレキシンを投与したところ,発熱,咳漱,呼吸困難が徐々に出現してきたためにPSLを減量した.胸部X線像では間質性肺炎が再び出現したためにアンピシリン,ついでセフメノキシム(CMX)に変更した.しかし症状,間質性肺炎も増悪したのでINH, ST合剤も併用した. CMX投与後一週間目ごろより好酸球増多および血清LDHが上昇したために薬剤起因性肺臓炎を考えてCMXを中止した.中止後,発熱,呼吸困難,諸検査成績および間質性肺炎はすみやかに改善した.経気管支鏡的肺生検では間質性肺炎の病理組織所見を得た.本例はSLEの経過中に抗生剤によると思われる間質性肺炎を併発した症例で,文献上SLEでは第2例目である.免疫異常を基礎疾患に有する患者では明らかなアレルギー歴がなくても,薬剤起因性肺臓炎合併の可能性を強調した.
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