日本臨床免疫学会会誌
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D-ペニシラミンによる重症筋無力症を合併した慢性関節リウマチの1例
症例報告と文献的考察
小林 茂人谷口 修岡田 孝男橋本 博史廣瀬 俊一
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1987 年 10 巻 4 号 p. 426-432

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抄録
D-ペニシラミンによる重症筋無力症を合併した慢性関節リウマチの1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.症例は26歳,女性で,約15年前より慢性関節リウマチと診断され, 1984年1月より約2年間, D-ペニシラミン(D-Pc) 150~250 mg/日の投与を受けていた. 1986年2月より,全身倦怠感,両眼瞼下垂,四肢脱力のため,近医を受診しD-Pcによる重症筋無力症(MG)と診断され(テンシロン・テスト陽性), 1986年5月本院に入院となった.入院時MGの症状は左眼瞼下垂,上肢脱力感のみに軽快していたが,抗アセチルコリン・リセプター(AchR)抗体が陽性であった.胸部CT上胸腺腫は存在せず, D-Pc内服後に抗核抗体の陽性化,入院時抗DNA抗体の上昇,補体価の低下,またBリンパ球の減少, Leu 3a/2a比の低下がみられたが,経過中に改善を示した.関節炎はD-Pc中止後約3ヵ月頃より再燃し, MG症状は約6ヵ月後に消失した.本例は重症筋無力症に加えて興味ある血清・免疫学的所見を経過中に示し, D-Pcの免疫・薬理学的作用機序から考えて興味深い症例と思われた.
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