日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
尿細管性アシドーシスによる著明な腎石灰化をきたしたシェーグレン症候群の1例
窪田 哲朗宮坂 信之山岡 國士佐藤 和人山田 隆西戸 孝昭奥田 正治
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 10 巻 4 号 p. 420-425

詳細
抄録
35歳の女性が四肢の脱力発作と口腔内乾燥感を主訴として入院した.代謝性アシドーシス,低カリウム血症が認められ,乾燥性角結膜炎および慢性唾液腺炎の存在も証明されたため,尿細管性アシドーシス(以下RTAと略す)を伴ったシェーグレン症候群(以下SjSと略す)と診断した.本症例ではレントゲン写真上,両側腎の著明な石灰化が認められたが, SjSにおいてこのような石灰化を呈する症例はきわめて稀であると考えられる. SjSは外分泌腺の系統的疾患であり,その1分症として慢性間質性腎炎が起こり, RTAをきたし,さらに腎石灰化症に至るものと推測される.本例では進行すれば腎不全に至る可能性も考慮されたためprednisolone 30mg/dayの投与を開始したところ,著しい代謝性アシドーシスの改善が認められた.このようなextraglandular typeのSjSに対しては積極的なステロイド剤の投与が考慮されるべきものと考えられる.
著者関連情報
© 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top