日本臨床免疫学会会誌
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全身性エリテマトーデス患者血清中の可溶性インターロイキン2レセプター(IL-2R)
戸叶 嘉明関川 巖橋本 博史奥村 康廣瀬 俊一
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1988 年 11 巻 6 号 p. 559-565

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抄録

40例のSLE患者の血清中可溶性IL-2RをELISA法を用いて検索した.その結果, SLE患者の可溶性IL-2Rは正常人に比べ有意に増加していた.正常人のmean+2 S. D.以上の症例を可溶性IL-2R高値群として臨床所見を検討してみると,高値群では心外膜炎および抗核抗体peripheral patternの頻度が有意に高かったが,腎病変,抗DNA抗体の力価, CH50の値では差がなかった.可溶性IL-2Rは活性化T細胞が存在すると出現するといわれていることから,可溶性IL-2Rの力価と他の活性化T細胞のマーカーとの関連を検討してみると,可溶性IL-2Rが高値の症例ではHLA-DR, HLA-DP陽性T細胞が多い傾向にあった.これらの結果はSLE患者における活性化T細胞の存在を示唆すると同時に,可溶性IL-2Rが活性化T細胞の指標として臨床に応用できる可能性があると思われた.

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