1988 年 11 巻 6 号 p. 599-606
ヒト腎細胞癌に対するマウスモノクロナール抗体(C5H)のF(ab')2フラグメントをin vivo studyに応用するために, F(ab')2の生成条件を検討した.基質に対する酵素比は蛋白量で40:1で, pH3.5溶液中の反応時間を1時間以上としたときに安定したF(ab')2フラグメント(MW 111,000)が得られることが判明した.回収率はProtein A Column,ゲル濾過により精製した場合50%であった.ヒト腎細胞癌由来樹立細胞株ACHNに対して125I-C5Hもしくは125I-C5HF(ab')2を使用して免疫学的結合能をScatchard plotにより解析した結果, 125I-C5Hの結合モル数は細胞1個あたり5.2×105で結合定数(Ka)は5.4×109M-1であり, 125I-C5H F(ab')2の場合,各々4.7×105, (Ka)は8.8×109M-1でintact MabとF(ab')2はほぼ同様の免疫学的活性を保持していることが明らかとなった.