日本臨床免疫学会会誌
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B型肝炎ウイルスのpre-S (2)抗原の臨床的意義-HBV-ポリマー化アルブミンレセプター活性との検討-
岩崎 良章松浦 一陽池田 弘能祖 一裕高口 浩一澤原 正彦山吹 隆寛辻 孝夫
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1988 年 11 巻 6 号 p. 593-598

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抄録

HBs抗原キャリアー血清120例についてHBV-DNAのgene pre-S (2)領域でcodeされているポリペプチドを,そのモノクローナル抗体を用いてELISA法で測定し, HBV-ポリマー化アルブミンレセプター(HBV-pAR)との関連を検討したものである.その結果, pre-S (2)抗原値とHBV-pAR活性とは,無症候性キャリアー(ASC)群では, r=0.826, P<0.01で,慢性肝炎~肝硬変群では, r=0.787, P<0.01でよく相関した. Pre-S (2)抗原値をHBe抗原陽性の病型別でみると, ASCで最も高く,慢性肝炎,肝硬変と病型が進展するにつれて有意に低値を示し, HBe抗体陽性のASCではさらに低値であった.インターフェロン療法時のHBe抗原陽性慢性肝炎の臨床経過では, pre-S (2)抗原はpAR活性とほぼ同時に低下して,遅れてHBe抗原からHBe抗体へseroconversionが起こった. HBVのpre-S (2)抗原は, B型肝炎の活動性および予後の推測のために臨床的に有用であることが示唆された.

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