日本臨床免疫学会会誌
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ラット腹膜を用いたOK-432による好中球遊走の機序解析
II. arachidonic acid cascade阻害剤による検討
井上 衛加藤 治樹山村 義治谷川 真理佐野 統杉野 成近藤 元治
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1988 年 11 巻 6 号 p. 615-621

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抄録

癌性胸膜炎,腹膜炎にOK-432を胸・腹腔内投与した場合,臨床的に効果が得られ,また投与後数時間以内に遊走してくる好中球の抗腫瘍作用が知られている.我々は先にラットを使って, OK-432投与初期の腹腔内への好中球遊走において,補体由来の好中球遊走因子の重要性を示した.今回は, arachidonic acid代謝産物由来の好中球遊走因子が, OK-432による好中球の遊走に関与しているかどうかについて検討を加えた.ラット腹膜上に置いたfilter membraneに付着する好中球数により好中球の遊走を検討すると, prednisolone: 100μg/ml, indomethacin: 10-4M, OKY 046: 10-4M, AA 861: 10-4M, azelastine: 10-4Mで著明に抑制され,その抑制パターンは濃度依存的であった.また, TXA2のアナログであるSTA2: 10-4Mの添加により好中球の遊走は促進された.組織学的にも同様のことが確認された.以上より, cyclooxygenase pathwayのTXA2, lipoxygenase pathwayのHETEs, LTB4などの好中球遊走因子が, OK-432の腹腔内投与による好中球遊走に関与しているものと考えられた.

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