日本臨床免疫学会会誌
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SLE患者の血中補体分解産物C3dに関する検討
森藤 隆夫大庭 敬大久保 義光渡辺 一雄西間木 友衛粕川 禮司
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1989 年 12 巻 1 号 p. 26-32

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抄録
抗ヒトC3dウサギ血清をcoatしたplastic plateのwell中に被検血漿を入れ,これに結合したC3dをperoxidase標識抗ヒトC3血清で測定する系を用いてSLE血漿中のC3dを経時的に測定し,溶血補体価,補体成分C3,免疫複合体との関係を検討した.
SLE患者の平均C3d (O. D.値)は0.262±0.091であり,健常人の平均C3d値0.212±0.104より高値であった.また, SLE患者のC3d値はCH50と有意(P<0.05)な負の関係(r=-0.509)を示した.血清中免疫複合体の量が20μg/ml以上を示した時期の平均C3d値は0.280±0.098であり,以下であった時期のC3d値0.191±0.063より有意(P<0.05)に高かった.活動期SLE患者をステロイド剤で治療すると, C3d, C3,免疫複合体, CH50の順で正常化した.
以上の成績から,血中補体の消費分解は免疫複合体量と関係し, SLE患者血漿C3dの経時的測定は補体活性状態を知るのに有用と思われた.
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