抄録
Propionibacterium acnes (P. aches)の加熱死菌を静注すると,約1週間後に肝組織内にマクロファージを中心とする単核細胞浸潤が認められ,さらにlipopolysaccharide (LPS)を追加静注すると,肝細胞壊死が起こる.そこで, P. achesの単核細胞浸潤誘導の機序を解析する一端として14Cで標識したP. achesをマウスに静注して臓器分布を調べるとともに, P. acnes菌体成分を用いて, P. acnesの単核細胞浸潤誘導能を検討した.その結果, 14C-標識P. acnesは静注後,肝に長時間残存することが示された.また, P. acnes菌体の細胞壁クロロホルム不溶性成分は単核細胞浸潤誘導能を有しており,その後のLPS追加静注において,急性肝不全が誘導された.