日本臨床免疫学会会誌
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抗ATLA抗体と輸血
抗HTLV-I抗体陽転時,血清IgG1とG3 subclassは上昇する
五十嵐 かおる若杉 和倫坂本 昌隆中村 浩彰小沢 ゆかり山根 伸吾鈴木 秀子鈴木 満
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1989 年 12 巻 1 号 p. 78-87

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抄録
HTLV-IはATLの病因ウイルスであり,その伝播経路は夫婦間,母子間,そして輸血がある.輸血によって抗HTLV-I抗体の陽転したと思われる白血病の5症例について抗HTLV-I抗体(particle agglutination; PA, Western blotting; Wb),と血清中のIgG subclasses (IgGs.), β2-microglobulin (β2-m), fibronectin (FN)を測定し,その推移経過を検討した.その結果,
1) 血清IgGs.は輸血前値に比較して一過性あるいは持続的にIgG1, IgG3値が増加し,
2) 血清β2-m値はPA陽転時に一過性の増加がみられた.また,血清FN値も同時期に一過性の減少傾向がみられた.
3) PA値は輸血後約1ヵ月以内に陽転した.
4) Wbによる解析ではPA陽転初期からp19, p24, p53などの蛋白に対する抗体が認められ,陽転初期にそれらの抗体はIgM型優位で後にIgG型に移行した.
5) HTLV-I感染における宿主のウイルス感染防御機構の初期反応の解明をするうえでこれらのパラメーターの検索は有意義と考えられた.
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