日本臨床免疫学会会誌
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全身性エリテマトーデスにおける持続性低補体血症の機序
血漿C3aおよびC4aの測定による解析
時山 国大横田 英介千布 裕佐藤 浩信成富 由司長沢 浩平仁保 喜之原田 憲治
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1989 年 12 巻 2 号 p. 156-161

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抄録
全身性エリテマトデース(SLE)患者を臨床的な活動性の有無,低補体血症の有無により3群に分け,それぞれC3およびC4の分解産物である血漿C3aとC4aをUpjohn社製Radioimmunoassay Kitを用いて測定した.非活動期にありながら持続性低補体血症を示すSLE群(第2群)では有意なC3a (p<0.01)の上昇を認め,その低補体血症の成因として補体系の活性化の関与があることが判明した.低補体血症のない非活動期のSLE群(第1群)でも,正常対照群に比べC3a (p<0.05), C4a (p<0.01)の上昇が認められ,潜在的な補体系の活性化が示唆された.活動期のSLE群(第3群)では血清補体値に差がなくても非活動期のSLE群に比べ, C3aで上昇傾向(p<0.10), C4aで有意な上昇(p<0.01)が認められ, C3a, C4aがSLEの活動性の鋭敏な指標となることが示唆された.以上より通常の血清補体値では判別不能なSLEの病態の把握に血漿C3a, C4aの測定が極めて有用と思われた.
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