日本臨床免疫学会会誌
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肺胞蛋白症における肺胞マクロファージ貪食能の検討
篠原 直樹高橋 和久高橋 さつき山田 充宏田村 尚亮
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1989 年 12 巻 2 号 p. 162-170

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抄録
健常者および肺胞蛋白症患者の肺胞マクロファージ(以下PAM)および末梢血単球(以下PBMo)の貪食能を, FITC標識ラテックス粒子とflow cytometryを用いて検討した,本法は, PAMを分離せず少量の細胞で十分に測定が可能であり,しかも貪食反応をdynamicにとらえることができるという利点がある.本法で検討した結果, PBMoでは,貪食にopsoninが不可欠であったのに対し, PAMでは,ラテックス粒子の貪食にはopsonin活性を必要とせず, opsoninの存在下では逆に抑制される可能性が示唆された.また,肺胞蛋白症患者のPAM貪食能は,健常者に比し著明な低下が認められた. PAMの機能低下が一次的なものか二次的なものかの問題は,今後なお残された問題であるが, PAMの異物処理機能の障害が肺胞腔内への過剰な脂質,蛋白質の蓄積を招く一因であろうと考えられた.
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