抄録
症例, 65歳,男性.主訴,浮腫,めまい,倦怠感末梢神経および自律神経障害,ネフローゼ症候群,心肥大,肝腫大を認め,胃生検,神経生検より原発性アミロイドーシスと診断した.血清免疫グロブリンは低値であったが, PHAおよびCon Aにたいするリンパ球の反応性は低下し,表面マーカーの検索にて, OKT 8の減少, OKT 4の増加, OKT 4/OKT 8比の増加(3.56)を認めた. DMSOの投与を行ったが,心停止のために死亡した.剖検上,肝,心,腎など全身にアミロイドの沈着があり,その生化学的分析の結果,分子量10Kdを主体とするAL (λ)型のアミロイド蛋白を同定した.
家族性アミロイドーシスでは神経障害は高頻度かつ重篤である.本例は原発性であるにもかかわらず多彩な神経症状を示し,興味ある症例と考えられたので報告した.