日本臨床免疫学会会誌
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Lupus laryngitisを伴ったsystemic lupus erythematosus (SLE)の1例
辻 秀一鈴木 康夫松岡 康夫入交 昭一郎岸本 宏志福田 純也
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1989 年 12 巻 4 号 p. 429-435

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抄録
症例は25歳女性.主訴は発熱.現病歴は昭和62年10月より無月経, 12月多発性関節炎出現.昭和63年5月無月経のため近医を受診,子宮付属器炎の診断で抗生剤,男女混合ホルモンの投与を受けた.その後発熱,蝶形紅斑出現. 7月18日当科入院.蝶形紅斑, Discoid疹,白血球減少, LE細胞現象陽性,抗DNA抗体高値などからSLEと診断, PSL 40mg開始. 7月22日より発熱,嗄声を認めさらに発語不能となった.内視鏡的に喉頭は浮腫・発赤強く,喉頭生検上リンパ球浸潤を伴った肉芽腫性炎の像を呈していた. PSL 60mgに増量したところ解熱し発語可能となった.本例の喉頭病変はSLEの活動性に伴い発現し,ステロイド療法に反応しSLEに伴うacute laryngitis (lupus laryngitis)と診断された. lupus laryngitisの報告は少なく本邦で初例である.また女性ホルモン投与をきっかけにSLEの症状が出現した症例も珍しく, SLEの発症を考えるうえで示唆に富む興味ある症例と思われ報告した.
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