日本臨床免疫学会会誌
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12 巻, 4 号
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  • 柏崎 禎夫, 岡田 純, 赤星 透, 上田 寛之, 福井 光文
    1989 年12 巻4 号 p. 349-361
    発行日: 1989/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 川野 豊, 野間 剛, 宮里 良乃, 前田 和一, 矢田 純一
    1989 年12 巻4 号 p. 362-368
    発行日: 1989/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    SSPE 3症例(stage 22例, stage 41例)における細胞性免疫能を検討した. IL 2産生能はPHA刺激下の1例(stage 4)で低下していた以外, PHA法およびAMLR法で異常を認めなかった. T細胞のIL 2反応性は, PHA刺激下では1例のみで低下していたが, AMLR法では3例ともに低下していた. Mo 1の表出が3例とも, HLA-DQの表出が2例で低下していたことから, AMLRにおいてnon-T細胞によるIL 2反応性T細胞刺激能が低下していることが示唆された. NK活性は3例中2例で低下していたが, LAK活性は3例とも低下していた. LAK活性の低下が著しい2例では, LAK前駆細胞の表面マーカーのひとつであるとされるLeu 19またはCD 20の表出が減弱していた.これらSSPE 3症例のT細胞のIL 2反応性低下とLAK活性低下は,麻疹ウイルス感染による細胞性免疫能の低下または, SSPEの発症とその進行の原因となる麻疹ウイルス感染に対する防御機構の欠陥を反映したものと考えられた.
  • 渡辺 一雄, 渡辺 浩, 木田 さとみ, 船橋 裕司, 大久保 義光, 佐藤 由紀夫, 宮田 昌之, 海瀬 俊治, 西間木 友衛, 森藤 隆 ...
    1989 年12 巻4 号 p. 369-378
    発行日: 1989/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    抗C1qおよび抗C3dモノクローナル抗体を固相化したマイクロプレートELISA法による免疫複合体(IC)測定キットを用い,各種自己免疫疾患患者血中のICを測定した.
    抗C1q抗体法キットによるICの陽性率と平均値は,活動期全身性エリテマトーデス(SLE)で94%と145.8μg/ml,非活動期SLEで50%と52.5μg/ml,慢性関節リウマチ(RA)で56.8%と58.5μg/mlであった.同様に,抗C3d抗体法キットでは,活動期SLEで67%と20.0μg/ml,非活動期SLEで14%と2.7μg/ml, RAで21.6%と6.1μg/mlであった.
    SLEにおいては,両キットともIC値は抗DNA抗体価と正の,溶血補体価と負の有意の相関を示した.一方, RAにおいては,抗C3d抗体法キットでは, IC値と赤沈値およびCRP定量値の間に有意の相関がみられたが,抗C1q抗体法キットではいずれとも相関せず,また両キットとも, IC値とリウマトイド因子定量値の間に,相関は認められなかった.
  • 川越 光博, 川上 誠, 広瀬 恒, 木谷 敦, 田畑 博嗣, 広瀬 立夫, 法岡 健一, 鈴木 王洋, 針谷 正祥, 原 まさ子, 中村 ...
    1989 年12 巻4 号 p. 379-385
    発行日: 1989/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    橋本病患者のB細胞機能を検討するために, B cell stimulatory factor-2 (BSF-2)刺激によるB細胞のThyroglobulin (Tg)抗体産生を観察した.
    橋本病患者の末梢血よりB細胞を分離し, 0~40U/mlのBSF-2とともに3~12日間マイクロカルチャープレート.で培養した.培養上清中のTg抗体とイムノグロブリン産生はBiotin-Avidin ELISAおよびELISAで測定した.
    BSF-2刺激の至適濃度は, Tg抗体産生がBSF-2 10と20U/mlでほぼ同様であり, 10U/mlが最適であった. Tg抗体産生の動態では, BSF-2刺激により, 9日目において無刺激に比べ有意なTg抗体産生の増加を示した.一方, IgG産生はBSF-2刺激により有意の増加を示さなかった.
    活性化されたB細胞のみが反応するBSF-2刺激に反応し, Tg抗体産生が増加したことより,橋本病患者末梢血B細胞はTg抗体産生に関してin vivoですでに活性化されていると考えられた.また,橋本病のTg抗体産生におけるBSF-2の関与が示唆された.
  • life-table analysisの技法を応用した長期比較試験
    村山 隆司, 生方 彰, 中崎 聡
    1989 年12 巻4 号 p. 386-393
    発行日: 1989/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    477名の慢性関節リウマチ(RA)患者を対象にlife-table analysis法を用いて免疫調節薬の長期比較試験を行った.比較対象薬剤はbucillamine (BU, 95名), sulphasalazine (SASP, 84名), D-penicillamine (DP, 149名), methotrexate (MTX, 32名), auranofin (AF, 103名), lobenzarit disodium (CCA, 54名)である.最長観察期間は42ヵ月である.その結果,継続率のよいものはMTX, DPであり,継続率の悪いものはAFとCCAであった.脱落理由をみるとBUは副作用脱落が多く, AFは無効脱落が多かった. BU, SASP, DPには重篤な副作用による脱落がみられた. BU, SASPはRAの免疫調節薬としてはDP, MTXとAF, CCAの中間に位置する薬剤と考えられた.これらの結果はわれわれ臨床医の使用経験とほぼ一致する結果であり, life-table analysis法による比較検討は各薬剤間の長期比較試験を行うに際して有用な評価方法と考えられた.
  • 守内 順子, 森田 和之, 市川 幸延, 高屋 正敏, 清水 宏明, 内山 光昭, 佐藤 薫, 辻 公美, 前田 雅弘, 瓜生 登, Pet ...
    1989 年12 巻4 号 p. 394-400
    発行日: 1989/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチ(RA)では人種を越えてHLA-DR4, DRw 53が有意に相関する.近年, HLAクラスIII領域中の遺伝子が全身性エリテマトーデスをはじめとする種々の自己免疫疾患の発症に関与する可能性が示唆されている.今回私たちは, RA患者のクラスIII領域でコードされているC4A, BおよびProperdin factor B蛋白のアロタイプの頻度を検討した.健常人と比較して, RAとくに男性RA患者では高率にC4B5を有していた.しかし日本人ではC4B5, DR4, DRw53の遺伝子間に強い連鎖不平衡が存在すること,他人種ではRA患者のC4B5陽性頻度が増加していないことなどから考えて,今回認められたC4B5とRAの相関は2次的なものと考えられた.さらに, C4と21-hydroxylase遺伝子をプローブとし, BamHI, TaqI, HindIII, KpnIを用いたrestriction fragment polymorphismによりクラスIII領域の遺伝子構築を検討した. C4遺伝子をプローブとしHindIIIを用いたときには, C4B5陽性者のみにHindIIIの6.0kbと10kbのバンドが認められた.しかもRA患者ではTaqIでは6.0kbを欠く症例が多かった.しかしながら, RA患者のみに特異的なバンドは見いだせなかった.
  • 高山 忠利, 幕内 雅敏, 関根 暉彬
    1989 年12 巻4 号 p. 401-406
    発行日: 1989/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    養子免疫療法における抗腫瘍エフェクター細胞の至適投与法を検討する目的で,腫瘍栄養動脈内に投与されたTumor-infiltrating lymphocytes (TIL)の生体内動態を解析した.肝悪性腫瘍2症例を対象として,約4×108個のTILを2mCiのindium-111(111In)で標識したのち肝動脈内留置カテーテルを介してbolusに注入し,その分布状態を投与直後から48時間目までシンチスキャンにより経時的に観察した.肝細胞癌症例では, 111Iu標識TILが他の画像診断法で確認された右葉前上亜区城の病巣局在に一致して集積し,それは観察期間内を通じて非癌肝領域に比し,有意の集積像であった.同様に,転移性肝腫瘍症例においても,病巣局在に相当した111In標識TILの集積を認めた.以上より,経肝動脈的移入後のTILの自己肝腫瘍組織への集積性が確認され,本投与法の有用性が示唆された.
  • 濱崎 浩之
    1989 年12 巻4 号 p. 407-414
    発行日: 1989/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    自己の白血病細胞に対するLAK活性のeffector phaseにCD3モノクローナル抗体が及ぼす影響について観察した.急性自血病15例中10例で短時間のCD3モノクローナル抗体の添加によってLAK活性は著明に上昇した.このLAK活性上昇と白血病細胞上のFcレセプター陽性率に相関がみられた.細胞内カルシウムイオン濃度の上昇はCD3, CD2モノクローナル抗体ともに認められたが, CD2モノクローナル抗体にはLAK活性増強効果は認められなかった.このことは,白血病細胞上のFcレセプターとモノクローナル抗体の架橋のあとに, CD3モノクローナル抗体によって特異的にLAK活性を増強するなんらかのsignal transductionが起こっていると考えられた.このCD3モノクローナル抗体添加LAK細胞は非常に強い抗腫瘍活性を有するため,将来AITの有望なエフェクター細胞になる可能性がある.
  • 右田 清志, 江口 勝美, 川上 純, 中尾 英人, 下村 周子, 植木 幸孝, 松永 真由美, 手塚 博, 長瀧 重信, 笹川 一平, 貞 ...
    1989 年12 巻4 号 p. 415-421
    発行日: 1989/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチ(RA)に続発性アミロイドーシスとmyelodysplastic syndrome (MDS)を合併した1症例を報告する.
    症例は65歳女性.昭和49年(50歳時), RA発症.昭和62年6月,蛋白尿,浮腫が出現し,精査のため当科へ入院した.消化管にAA蛋白の沈着を認め,続発性アミロイドーシスの合併と診断された.以後,貧血が増強し,昭和63年5月より白血球減少症が,また同年6月より血小板減少症が出現し,骨髄穿刺検査の結果より, MDSと診断された.
    本症例での骨髄細胞のcellular DNAにおいて, N-ras 13 codonのpoint mutationがみられた.このpoint mutationによるoncogeneの活性化が本症例のMDSの病因に深く関係していることが示唆された.
  • 佐々木 泰史, 杉山 敏郎, 石田 禎夫, 嶋中 昭二, 細川 寿和, 今井 浩三, 谷内 昭
    1989 年12 巻4 号 p. 422-428
    発行日: 1989/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    骨髄低形成による汎血球減少を呈し,多彩な自己抗体を認め,血清学的に全身性エリテマトーデス(SLE)が強く疑われる症例を報告した. 38歳女性.全身倦怠感,体重減少の精査のため当科入院.入院時,高度の汎血球減少(赤血球185×104,白血球1,200,血小板2.2×104/mm3),抗核抗体,抗DNA抗体,抗Sm抗体,抗RNP抗体,および抗SS-A抗体陽性で,血清補体価低値のうえに,著しい骨髄低形成を示し,再生不良性貧血を伴うSLE (1982年改訂SLE分類基準3項目)と考えられた.血清中に補体存在下で患者骨髄細胞の増殖を抑制する因子を認め,自己免疫機序による骨髄低形成を呈したと推定され,免疫抑制剤により汎血球減少の改善を認めた.文献上,このような症例はきわめてまれであり, autoimmune pancytopeniaとの関連性も含めて考察を加えた.
  • 辻 秀一, 鈴木 康夫, 松岡 康夫, 入交 昭一郎, 岸本 宏志, 福田 純也
    1989 年12 巻4 号 p. 429-435
    発行日: 1989/08/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は25歳女性.主訴は発熱.現病歴は昭和62年10月より無月経, 12月多発性関節炎出現.昭和63年5月無月経のため近医を受診,子宮付属器炎の診断で抗生剤,男女混合ホルモンの投与を受けた.その後発熱,蝶形紅斑出現. 7月18日当科入院.蝶形紅斑, Discoid疹,白血球減少, LE細胞現象陽性,抗DNA抗体高値などからSLEと診断, PSL 40mg開始. 7月22日より発熱,嗄声を認めさらに発語不能となった.内視鏡的に喉頭は浮腫・発赤強く,喉頭生検上リンパ球浸潤を伴った肉芽腫性炎の像を呈していた. PSL 60mgに増量したところ解熱し発語可能となった.本例の喉頭病変はSLEの活動性に伴い発現し,ステロイド療法に反応しSLEに伴うacute laryngitis (lupus laryngitis)と診断された. lupus laryngitisの報告は少なく本邦で初例である.また女性ホルモン投与をきっかけにSLEの症状が出現した症例も珍しく, SLEの発症を考えるうえで示唆に富む興味ある症例と思われ報告した.
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