抄録
骨髄低形成による汎血球減少を呈し,多彩な自己抗体を認め,血清学的に全身性エリテマトーデス(SLE)が強く疑われる症例を報告した. 38歳女性.全身倦怠感,体重減少の精査のため当科入院.入院時,高度の汎血球減少(赤血球185×104,白血球1,200,血小板2.2×104/mm3),抗核抗体,抗DNA抗体,抗Sm抗体,抗RNP抗体,および抗SS-A抗体陽性で,血清補体価低値のうえに,著しい骨髄低形成を示し,再生不良性貧血を伴うSLE (1982年改訂SLE分類基準3項目)と考えられた.血清中に補体存在下で患者骨髄細胞の増殖を抑制する因子を認め,自己免疫機序による骨髄低形成を呈したと推定され,免疫抑制剤により汎血球減少の改善を認めた.文献上,このような症例はきわめてまれであり, autoimmune pancytopeniaとの関連性も含めて考察を加えた.