日本臨床免疫学会会誌
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混合性結合組織病における肺線維症と抗細胞骨格抗体
鈴木 貴博近藤 啓文柏崎 禎夫
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1989 年 12 巻 6 号 p. 623-629

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抄録

2年以上経過を観察しえたMCTD 44例を対象として,肺線維症を合併したMCTDの臨床像を分析するとともに,抗ビメンチン,抗サイトケラチン抗体を測定し,本抗体陽性MCTDの臨床像も検討した.肺線維症の合併は19例43%に認められ,その臨床像ではSLEコンポーネントの頻度が低率で, PSSの診断基準を満足する症例が多かった. MCTDの肺線維症は軽症例が多く,呼吸機能検査でも%VC, DLco値の有意な低下はみられなかったが,動脈血酸素分圧は有意に低値であった.抗ビメンチン抗体は22例56%に検出され, proximal scleroderma,肺高血圧症,肺線維症などPSSのコンポーネントと相関する傾向が認められた。抗サイトケラチン抗体は6例15%に認めたが,臨床像に特徴はみられなかった.抗ビメンチン抗体がMCTDの肺高血圧症,肺線維症と相関する傾向が認められたことは,本抗体が膠原病の肺病変になんらかの関連をもつ可能性が示唆された.

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