日本臨床免疫学会会誌
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抗セントロメア抗体の臨床的意義について
松林 秀幸山下 映子岡村 憲昭笠倉 新平
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1989 年 12 巻 6 号 p. 630-636

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抄録

HEp-2細胞を基質とした抗核抗体検査において間接螢光抗体法を実施し,散在斑紋型の染色パターンを呈した56例を対象として,抗セントロメア抗体(ACA)の同定を行い, ACA陽性症例54例の臨床的意義を検討した. ACA同定には, Wil-2細胞を使用した染色体塗抹標本を作製し間接螢光抗体法を実施した.結果は, HEp-2細胞の散在斑紋型の染色パターン所見のみで96.4%のACA陽性が同定可能であった. ACA陽性症例の疾患分布は,全身性硬化症(PSS),レイノー病(単独)が39% (21例)にすぎず,シェーグレン症候群(SjS) 16.7% (9例), SLE 13% (7例), RA 5.5% (3例)と,他の自己免疫疾患が35.2% (19例)を占め,肝疾患,心疾患が,それぞれ5.5% (3例)を占めた.また完全なCREST症候群を呈した症例は1例しかなく,レイノー症状のみを合併した自己免疫疾患に比較的高率に出現した.また心疾患においてもACA陽性例を認めたが,いずれのCREST症状もみとめられなかった.

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