日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
標識抗nuclear ribonucleoprotein (nRNP)抗体を用いたnRNP抗原の細胞内局在に関する研究
斎藤 孝一
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 12 巻 6 号 p. 637-646

詳細
抄録

MCTD患者血清のIgG分画にペルオキシダーゼを標識し,酵素抗体直接法にてラットおよびヒトの種々臓器と腫瘍組織内,さらに各種培養細胞内のnRNP抗原の局在と分布を検討した.ヒトおよびラットの各種臓器の細胞核は, speckled型に染色されたが,ヒトの扁桃組織とリンパ節の単核細胞では染色像に差異が認められた.細胞質の染色はラットの脊髄前角細胞に陽性所見がみられ, RNaseで処理され, nRNP抗原の存在が示唆された.肝細胞癌の腫瘍結節においては,周辺部から中心部へと染色像の減弱することが観察され,培養細胞にてさらに検討すると,細胞分裂時にnRNP抗原の核内から細胞質部分への移動とその抗原密度の減少がみられた. nRNP抗原はmRNA前駆体のsplicing enzyme機能を有するが,組織,あるいはCell cycleによって抗原の局在や分布に違いがみられ, MCTD病像発現との関連についてはさらに検討が必要である.

著者関連情報
© 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top