日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
免疫グロブリン製剤のヒト単球IL-1産生に及ぼす影響
三田村 巧山上 敬司康 浩一戸村 好太郎唐崎 美喜西成田 進葉山 隆澤田 滋正
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 12 巻 6 号 p. 647-652

詳細
抄録

インタクト免疫グロブリン(pH 4処理)製剤およびF(ab')2(ペプシン処理)製剤がシリカ懸濁刺激ヒト単球のIL-1産生に及ぼす影響について検討した. IL-1の測定はマウス胸腺細胞のpeanut agglutinin(PNA)非凝集細胞の増殖能で行った.
高濃度(mg/ml)のpH 4処理製剤およびF(ab')2製剤は無刺激ヒト単球にほとんどIL-1を産生させなかったが,シリカ懸濁刺激ヒト単球のIL-1産生には増強させた.
また,低濃度(μg/ml, ng/ml)の精製IgGはシリカ懸濁刺激ヒト単球のIL-1産生を増強した.しかし,低濃度の精製F(ab')2フラグメントはシリカ懸濁刺激ヒト単球のIL-1産生になんら影響を及ぼさなかった. ELISA法によるIL-1の定量では, IL-1 α, βともに高濃度,低濃度IgG添加はシリカ懸濁刺激単独単球のIL-1 α, β産生を増強したが,低濃度F(ab')2フラグメント添加ではほとんどIL-1 α, β産生の増強はみられなかった.
以上のことより,エフェクター細胞周辺の濃度と思われる低濃度では, F(ab')2製剤のほうが単球に及ぼす影響が少ないことが示された.

著者関連情報
© 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top